閑話休題 売れるライトノベルとは

▽やぁ。

▽オバロ最新刊が入荷3日で品切れしそうなことに驚いてる、うぃずだよ。

▽流石というかなんというか、文芸書サイズなのに100冊余裕で飛んでいくのは凄いパワーだよね。

▽なかなかヒットが飛びにくいのが文芸書サイズのライトノベルなんだけどね。

▽いや、本当に売れないんだよ文芸書。

▽2日に1回は新タイトル来たりするんだけどさ、中には1冊も売れずにいる本とかあるんだよね。

▽でも、実はそういう本ってのは来た時点でなんとなく『あ、これ売れないな……』とか気付くことがある。

▽これは文庫サイズのライトノベルでもそうなんだけど、文芸書サイズはより顕著にその傾向が出ていると思ってほしい。

▽その傾向について、今回は書いていこうと思うよ。

▽勿論、これは僕が働いてる店での話であって。

▽他の書店だと、客層とかによって変化するものだと思ってほしい。


▼では、本文へどうぞ▼


 売れるライトノベル・文芸書の傾向とは。


 先ず、これは言うまでも無いがイラストというのは最も重要だ。

 イラストとは本の顔であり、最もメインの広告塔。

 故に、読者の目に焼き付く様な表紙が望ましい訳だが、ライトノベル、それも文芸書サイズの書籍ではこのイラストが残念であることが多い。

 否、確かにイラストとしては上手いのだ。

 だが、致命的に『 看板足りえない』イラストが多すぎる。

 例えば、描き込みが多すぎてごちゃごちゃしていたりすると、最も目立たせたい部分であるはずの『キャラクター』に目を惹かせづらくなる。

 そうすると、必然的に『キャラクター』に釣られて買う読者が居なくなるわけで、これはスタートから購買ターゲットを減らす愚行な訳である。

 しかし、実際はそんな描き込みだらけの表紙ばかり文芸書サイズでは出ている訳で、故に売れ行きは伸びにくい。

 本当に売れる『イラスト』とは、上手さではなく『1人ないしは2人のキャラクター』のみをアピールした表紙であると覚えておいてほしい。

 ヒロイン複数人ごちゃごちゃなんてもっての外である。

 更に、昨今の『説明タイトル』の流行も理由の1つにある。

 読者層の変化に合わせて、わかりやすく内容を伝える『 長文説明タイトル』が増加しているわけなのだがこの、『説明タイトル』の利点である、『内容を伝えやすい』ということをかなぐり捨てたようなタイトルが非常に多いのだ。

 読者に合わせた説明タイトルであるはずが、実際は無駄に長ったらしく読むのもだるい、長すぎて略称考えるのにも悩む、なんてタイトルは良く見かけると思う。

 この、略称への誘導というのは非常に大切で、仮にその作品が面白いから勧めようと思っても、タイトルが長すぎればそれだけ労力が発生し、略称がしっかりしてなければ何度も説明の手間が生じる。

 これでは、クチコミで面白さが伝わることを阻害しかねない。

 正直言ってしまえば、初動の売上を左右するのは『 シナリオ』では無く『イラストとタイトル』であるのだ。

 故に、情報量の調整は大切なのだ。

 ただし、これは一巻の場合に限った話だ。

 2巻以降は、当然シナリオの面白さや文章力で『固定ファン』を作っていかなければならない。

 その為に、1巻も先が気になるような内容を書く必要は当然ある。

 しかし、結局のところ売上を伸ばすためには『キャラクターを目立たせる表紙』と『略称を自然と誘導させるタイトル』が重要だということを覚えておいてほしい。

 書籍化するなんて機会があった時は、イラストの妥協だけは絶対してはいけないのだ。

 文芸書部門で売れている物は殆どが『キャラクター1人を目立たせ』『略称が定着しやすいタイトル 』大切なことだから何度でも言おう。

 タイトルは長ければいいって訳ではなく、それが略称を作って貰えるかどうか。

例 転生したらスライムだった件
→転スラ
  ありふれた職業で世界最強
→ありふれた
  オーバーロード
→オバロ
  

 タイトルに『転生』とか『 異世界』と付けるのは、単純に略称にしてもらいやすいという効果もあるので実は効果的なのだが、最近は転生タイトルが増えすぎて効果が落ちているように思える。

 異世界物はただでさえ数が多いのだ、略称誘導には別の単語を考えた方が無難だろう。

 タイトルにそれらの単語が付くだけで『安っぽい』と思われてしまう危険性も高いのでね。

 最近初動で大きな売上を残した作品だと

・幼女さまとゼロ級守護者さま
→幼女さま
・戦闘員、派遣します
→戦闘員

 の様に特徴的な単語をそのまま略称にすることも多い。

 内容を表す『単語』をタイトルに組み込むのは有用な手段と言える。

 また、上でも上げた『オーバーロード』の様に3文字・4文字の語感がいい略称に誘導出来た作品はかなり強いものになる。

・オーバーロード
→オバロ
・インフィニット・デンドログラム
→インドロ

 このように、口に出しやすい『略称』というのはそれだけで売上に繋がりやすい。

 書店員としても『略称付き』の作品は差はあれどある程度売れやすいし、宣伝もしやすいのだ。

 twitterでの宣伝をする時なんかは特に、タイトル滅茶苦茶長いのに略称がぱっとしないと、そのままタイトルを打ち込む訳なんだが、それだけで文字数が無くなって宣伝文がそれだけ短くなる。
 
 宣伝popを書くときも同じことが言えるだろう。

 故に、良いタイトルの条件とは。


・略称誘導がきちんとされていること。
・無駄な文字が無く、簡潔であること。
・最重要要素がわかりやすい事。

 となるだろう。

 わかり易く異世界物を例にすれば、『転生したらスライムだった件』なんていうのは長文ではあれどスマートであることがわかると思う。

 『転生』したら『スライム』になっていたということから、転生ファンタジーだということが一瞬で読者に伝わるし、『スライム』という最重要要素も盛り込まれている。

 『だった件』という蛇足に見える部分も、不本意ながら転生したという感じが滲み出ていて悪くは無いだろう。

 二つのワードから構成されるタイトル故に、略称の誘導も簡単にされている。

 まさか『 転スラ』を『転件』だとか『スラ件』なんて略し方する人間は居ないだろう。

 居たとしても、そいつは天邪鬼なだけだから気にする必要は無い。

 ここまで長く書いてしまったが、要点を纏めれば。


略称を誘導しろ!

表紙イラストはごちゃごちゃするな!メインを1人に絞れ!

余計な言葉を付けるな!日本語は短いのが美しいのだ!


 ということだけ覚えてもらえればいいと思う。

 我々書店員も、本当は全ての本を売りたいのだ。

 売るためには、売りやすい本でなければならない。

 貴方の世界を読者に広げる為にも……!



▽ま、拘りとかがある人間はそれを貫いた方がいいんだけどね。

▽その拘りを貫くためにも、ちょっとだけ工夫してくれるときっと、我々書店員はそれに応えるよ。

▼このブログが、貴方のライトノベルライフを潤わせることを願って。

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良き内容だ…