レビュー『ミリオン・クラウン』

――此れを見よ。彼を見よ。
退廃の夜に咲く、あの赤き徒花を



スニーカー文庫刊

『ミリオン・クラウン』

著 竜ノ湖太郎


▽2回目のレビューは、 竜ノ湖太郎著の『ミリオン・クラウン

▽6月に2刊が発売予定の終末世界英雄譚だね。

▽竜ノ湖太郎先生と言えばアニメ化もされた『問題児たちが異世界から 来るそうですよ?』シリーズとその正統続編の『ラスト・エンブリオ』シリーズが有名だけど、それらと世界観をある程度共有した作品だったりする。

▽元々、著者がライトノベル作家になるきっかけとなった受賞作品『イグヴェイジョン』を元にした作品らしく、それ故にかなり力の入った作品になっているね。

▽『問題児』シリーズが神話や童話を元にした知略ゲーム+爽快無双劇であるなら(正確にはそれだけではないけれど)『ミリオン・クラウン』は終わった世界を取り戻す為に戦う王道ファンタジー。

▽けれども、どちらとも主人公には共通点があって

▽それは自らの『存在』の意義を問う為に戦っているということ

▽『問題児』逆廻十六夜は自らの力を、我は斯く或るべきと決意して戦い、『 魔王アジダハーカ』を倒して敗れた

▽その後の『ラスト・エンブリオ』での彼は、何処か影を纏いながら、それを振り払わんとして戦っているね。

▽ならば、『 ミリオン・クラウン』の主人公はというと。

▽彼はとある場所で『終わってない頃の世界』から眠り続けていた。

▽目を覚ました時既に世界は終わっていて、彼の家族や友人なんてものは既に過去の人になっていた訳だ。

▽それを理解するには当然時間が必要な訳で、けれどもそれでも彼は戦うため立ち上がっていた。

▽驚異的な""への適合率もあり、襲いくる脅威をなんとか退けるわけだ。

▽死闘の後、重症を負った体を気にもかけず、彼はとある場所へ赴く。

▽そこは、元々彼の家であったはずの場所。

▽今では廃墟となってしまったその建物で、彼は彼の新たな仲間に迎え入れられる。

▽家には家族は居なかった、それでも新たに守るべきと思える仲間は、会って日も短い筈なのに自分を慮ってくれる仲間がいた。

▽ベランダから、彼の為だけに打ち上げられた花火を見ながら、1巻は幕を下ろす。

▽全体的な総評としては、王道英雄譚。

▽世界を救う物語、だけどその密度は圧倒的に濃い。

▽『問題児』シリーズと共有される設定群達が物語を熱くしているね。

▽『問題児』逆廻十六夜はその身が『第3永久機関』であった訳なのだけれども、『 ミリオン・クラウン』における敵と戦う手段がまさにそれ。

▽血中粒子速度を加速させて圧倒的な力を得る、『人類最終試練(ラスト・エンブリオ)』を打倒するための力が、武器として存在している。

▽というより、ミリクラの世界は恐らく――

▽『西業焔がアジダハーカの化身として完成し、世界を滅ぼした世界線』の話なのだろうね。

▽暴走した環境制御塔なんて代物も登場する以上、多分そういうことなのだと思う。

▽『ラスト・エンブリオ』読者は必読するべき作品だね。

▽勿論、それらを読んでない人も楽しめる内容にはなっているけど、より楽しむためには両者を読み比べることをおすすめする。

▽ただ、これから『竜ノ湖太郎ワールド』に足を踏み入れるのなら注意するべきことが1つある。

▽現状、所謂『ラブコメ』的要素は無いに等しいということ。

▽『問題児』シリーズのヒロイン3人とそういう展開にはなっていないし、親友的側面の方が色濃い。

▽主人公もセクハラはしても色恋の素振りは全くと言っていいほど見せないしね……

▽故に、完全なファンタジアとして読むのを進める

▽イチャラブ求めてる人が読むとやきもきしかしないからね。

▽逆に、厨二的感性が豊かな人は、この作品を読まないのは人生の損と言っても過言ではないよ

▽是非とも、手に取ってほしい。


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