レビュー『魔法少女さんだいめっ☆』


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※注意※



 今回の記事は、小説への批判的な内容を含んでいます。
 人によっては気分を害される恐れがありますので、この先へ読み進める場合はその点をご留意してお進みください。
 また、私が語っている間は『比較的優しい感想』となっています。前半だけでもお読み頂ければ幸いです。
 それでは、感想のターンに入りますね、先輩。



魔法少女さんだいめっ☆ (ガガガ文庫)

魔法少女さんだいめっ☆
著 栗ノ原草介 先生
イラスト 風の子 先生



 ノベルとしては珍しい『魔法少女モノ』の本作は、『第12回小学館ライトノベル大賞 ガガガ賞』の受賞作ということで、他レーベルと比べて攻めた作品が多いガガガ文庫らしいテーマの作品だと思います。

 私はあまり魔法少女モノは詳しくないんですが、思い付くのは『魔法少女育成計画』と、同じガガガ文庫作品として『俺、ツインテールになります』が変身ヒロインモノということで共通点があるかな? ってくらいです。コミックならある程度知っているんですが……。



 ということで、メジャーな知識のみで語ることをお許しくださいね。『プリキュア』位は見てますからっ!
 
 さて、先ずは読み終えた時の感想ですが、『魔法少女モノとしての王道を貫きつつ、好きになれるキャラクター性も秘めている』と感じました。

 ヒロインとなる『夢見草満咲』ちゃんの真っ直ぐでひたむきな魔法少女への熱い憧れと想いには憧れすら覚えましたし、私も『ソフィアきゅん』って呼んでほしいです。魔法少女ぷるりら☆このは(作中に登場するアニメの名前)の96話通しは断固拒否しますが。

 ストーリーも、魔法少女モノ特有の『謎バトル』や『ヒーローは遅れてやってくる』お約束も盛り込まれていて、その落ちも主人公がドタバタに巻き込まれる感が出ていたのも高評価です。

 主人公が葛藤を越えて助けに入るタイミングなんかは、正にクライマックスであり、強大な力を安易に振るいがちな最近の作品と比べて『最大限魅せる』タイミングだったと思います。あんなタイミングで助けられればそりゃファンクラブもできますよね。


銀河一カワイイよぉぉおおおお――――――ッ!


 ……はっ。取り乱しました、申し訳ありません……。


 とにかく、魔法少女というテーマに対して、純粋に正面から向かい合った作品であることは疑いようがないですね。
 
 作者の熱量はかなりのものだと思います。あとがきも愛で溢れていましたしね。
 
 ガガガ文庫さんは本当、こういう熱量の高い作品を見つけるのが上手いですよね……そんなだから、毎月の新刊すべて買っちゃうんですよ! 自重してください自重っ。

 総評としては、『大変愛に溢れていて、勢いの中にしっかりとした踏襲もある良い魔法少女青春ストーリー』って感じです。あーこんなに長く話すことになるとは……恨みますよ、先輩?


 …… さて、それでは私の番はここまでですね。
 
 ここからは、うぃず先輩による何一つ誤魔化さない、書店員として最悪のレビューとなります。

 確実に、読んだ貴方を不愉快にさせる可能性が非常に高い為、引き返すのなら今となります。

 この直ぐ下から始まりますからね。

 警告は、しましたよ。



▽やぁ。挨拶が遅れてすまないね。

▽今回、『魔法少女さんだいめっ☆』という作品を読んだ訳なのだけどもね。

▽率直な感想を言えば、最悪の編集に当たったのだろうなって感じ。

▽まぁ、取り敢えず語らせてもらうよ。ソフィアの警告は読んでいるよね?

▽それでは、最悪のレビューの始まりだ。




 本作は、上でソフィアが語った通り『純粋な魔法少女モノ』である。

 文章とシナリオを切り離して脳内でプロット化して考えた場合、その完成度は高いと評価出来る……だが、文章が大問題である。

 先ず、僕はこの作品を読んでいる時苦痛さえ覚えた。

 同じ動詞の多様、キモとなる筈の戦闘描写の細さ、分かりにくい比喩表現の数々……そして極めつけは『2つの誤字』だ。

 そも、日本語の文章とは『簡略である程美しい』のが基本である。

 故に、『同じ動詞や単語を同じページに何度も登場させるのは禁忌的』である。

 例えば、戦闘表現で1度『襲う』という言葉を使ったのなら、せめてその戦いでもう一度『襲われる』等は使用しない方が美しい。

 それをこの作品は『とことん無視している』。

 上記した『襲う』なんて何度も使用されるし、何より酷いのが『人物名の連打』である。

 〇〇は△△した。〇〇は驚いた。〇〇は~。

 こんな感じで、その場の描写を文章の工夫ではなくRPGさながらに名前で切り替えているのだ。

 本来、地の文では『描写によって誰が何をしたか、そして何が起こっているのか』を描かなければならない。それを安易な人物名での切り替えによって、チープさを臭わせてしまっている。

 また、追撃するような謎の分かりにくい比喩表現の多用も拍車をかける要因だ。

 例えば『ハルの意思は"鋼鉄の要塞"を思わせる程に堅牢で~』という表現だが、そもそも『要塞』というものが想像しにくいことに加えて『鋼鉄の要塞』なんていう現実には存在しないファンタジーを、曖昧な『意思』というものの表現に当ててしまっていたり。

 空中を駆ける『無数の鎌』の表現に『攻撃命令を受けた軍用犬』『集団で狩りを行う狼』『大海を回遊するいわし』とイマイチしっくり来ない、というか『空中を駆ける鎌』なのに何故『陸と海』を表現に使うのか、と。迫力を伝えたいことは伝わるが、比喩表現があまりに読者に優しくないのだ。

 また、これは作者のお決まりの文章パターンなのだろうが、『同じもしくは類似したセリフを2回繰り返して強調する』という傾向が見られた。

 これは比較的有効であると思うのだが、流石にその表現を多様するのはくどい
 
 読者に既視感を与える描写は避けた方が良いだろう。

 比喩表現を頑張っているというのは伝わるだけに、前述の『人物名や動詞の多用』も合わさり無駄が多い文章になってしまっていることが、先ずはこの作品の質を下げている原因だ。

 人物の行動描写なんかは特に、ゴテゴテしすぎて(或いは足りなくて)動きが悪くなっているのはライトノベルとして致命的である……折角の勢いあるテーマとシナリオが台無しだ。

 また、『完全にご都合主義の為だけの便利キャラ』が2人も存在しているのは頂けない。

 そのキャラにしたって怖がられる外見なのに誰ともでも仲良くなれるだとか、設定のブレが目立つ。いやこれ自体は何も悪い設定ではないのだが『誰とでも仲良くなれるような描写』の欠如により違和感を残すだけの設定となっているのだ。

 ヒロインの親友キャラのお金持ちちゃんにも同じことが言え、『露骨に目立たない外見』にしているのはヒロインを喰わない為なのだろうが……やはりご都合主義に見える。

 両者ともに、わざわざ出さずとも物語に影響は与えない程度の主張である為、これは小説的に美しくないキャラクターだと言えるだろう。

 そして、これは僕の怒りの原因。

誤字が初歩的過ぎるんだよ、編集校正作業本当にやったんか?

 『半重力』→『反重力』だろうッ!?重力半分にしても『浮かび上がる』訳はないよなァッ!!

 『掛かかった』→『掛かった』お前本当に文章読み込んだかッ!?

――そも、上で述べた問題点については、本当に編集がついているのなら『容易に気がつけるような』なんなら『読んでいる最中に違和感を覚える』ようなものばかりなのだよ。僕のような一般読者よりもより多くの本を読んでいるであろう編集者ならね?

 故に、僕は著者を貶すつもりは一切無いし、このようなレビューを書くことになったことについては心から謝罪したいくらいなのだ……しかし、読んでしまった以上は書くのがラノベブロガーとしての、作品との向き合い方だと思っている為、このことを後悔したりはしない。

 ただ一つ『編集仕事しろよ』である。僕の感想は全てここに集約される。

 『魔法少女さんだいめっ☆』は哀れな被害作だ。もっと、もっと素晴らしい作品になり得たダイヤの原石を、担当したであろう編集は叩き割ったのだ……ッ!

 これは著者への、小説という概念への冒涜だ。決して許されてはいけない所業だ……。

 僕としては、この編集が職を辞することを望むばかりである……。



魔法少女さんだいめっ☆ (ガガガ文庫)



 

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