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レビュー『スカートのなかのひみつ』

▽やぁ。

▽給料が厳しくて転職を考えてるうぃずだよ。

▽経費削減の波が……でも書店員は楽しいんだよねぇ、別の書店でも探してみるかね?

▽ブログ的にも、書店員じゃなくなると、ね?

▽あ、それと今回の記事はネタバレ要素が強めになっているよ。読み進める方は、予めご了承ください。

▽ということで

▼本文へどうぞ▼




スカートのなかのひみつ。 (電撃文庫)


スカートのなかのひみつ。
著 宮入裕昴 先生
イラスト 焦茶 先生



あらすじ

 男の娘も、女の子も、そこにはひみつを隠している――。
 愛と希望はためく疾風青春グラフィティ!

「面白いものが面白いものを呼ぶんだ。考え方一つで世界が変わる」
 同じクラスの八坂幸喜真は、その名の通り“好奇心”に足が生えたような男だ。
 謎の棒、植木鉢、そしてボレロ。アイツの行動はいつも掴み所がない。
 でもそんな“八坂らしさ”が起こすある奇跡のことを、その時の僕らはまだ知らなかった。
 世界一の女装アイドル、赤いラインカーの美少女、そして時価八千万円の……タイヤ??
 足下を吹き抜ける“蛇の息”が僕と私のひみつをさらけ出した時、八坂と“あの子”の愛の物語が幕を開ける――。
 第24回電撃小説大賞最終選考作よりお届けする、怒濤の青春群像劇!!

※公式サイトより引用

 
 公式サイトの紹介文でも謳われている通り、この作品は『疾走感』溢れる作品となっている。

 青春という、永遠を一瞬に圧縮したかのような濃密な日々を、まるで書籍から風が溢れ出るかのように描いた疾走青春譚だ。

 その内容は主に『2人の視点の切り替え』によって進行されており、『スカートのなかのひみつ。』という作品を語る上でこの視点の切り替え、というのが大変重要なファクターとなっている。

天野 翔』と『広瀬 怜』という2人の視点で切り替わっていく物語は、正直に言ってしまえば『読み進めている時は意味がわからず苦痛』であったが、それも240頁までの話だ。

 全305頁のうちの240頁は、最後まで読み終えてみれば全てが壮大な伏線であり、それまでに読者に与えられた巨大なフラストレーションがラストに紐を解くかのように解けていく様には、思わず感嘆の息が漏れた。

 計算尽くされた展開は圧巻としか言いようがなく、この作品の疾走感とは真逆に、著者は幾度もの改稿と考察を繰り返したであろうことは容易に想像がつく。

 というか、とある叙述トリック使ってるとは思わなかったからね……そりゃ読んでる時は違和感あるに決まってるじゃないか。

 登場人物全員狂ってるなぁとか思いながら読み進めてたら最後に覆されるんだもんなぁ……。

 その異様な展開の速さも、トリックを隠すためのカモフラージュだと考えれば納得が行く。

 序章で芸術的な言い回しで知性を惹き付けておいて、途中から読者置いてけぼりでエンジン吹かすもんだから、そりゃ思考能力奪われますよ。

 もう兎に角、わざと理解されにくいように精密に説明を省くっていう、なんとも高度な技術が使われてるんだろうけどね……やられました。

 ただ、物語の結末は、少々味気がなかった。ここまでギミック満載で描かれた結末としてはインパクトが足りないように思える。

 視点となって物語を紡いで来た2人が結末では蚊帳の外であり、なんなら舞台装置に成り下がっていたからだろうか。

『女装男子』が主人公という強烈な設定に対して、イマイチキャラが立たず、なんなら最初から最後までストーリーを達成する為だけに作られたキャラクターに思えてしまうのだ。

 騙されはしたのだが……ライトノベルおいてキャラクター、しかも視点を持っているキャラがギミックに落ちるのは宜しくない。

 唯一キャラクターとして輝いていたと言えるのはとある1人だけであり、この作品自体もそのキャラクターの為の作品ともとれるが、それにしても、だ。

 シナリオ構成や仕組まれたギミックはかなりの高水準であった為、そのことだけが惜しい……。

 いっそライトノベルレーベルではなく純文学を取り扱っているレーベルから出した方が受けが良かったかもしれない。

 ライトノベルとしてはトリッキーな為万人受けする物語ではないかもしれないが、読書とは本来、知性を試されるものであるということを思い出させてくれる良質な1冊だ。

 是非とも手に取って、技巧の数々を体験してみてほしい。




スカートのなかのひみつ。 (電撃文庫)




▽近年のライトノベルってさ、ストレスフリーで読めるように書かれた本が多いのだけどさ。

▽この本は何度も読み返して、フラストレーションためて、最後に解き放つ、そんな本。

▽たまにはため息をつくような読書をしたい、そんな貴方は是非とも買ってみてくれ。

▼それでは、また次回。


※サムネ用画像



コメント

非公開コメント

No title

「スカートのなかのひみつ。」終盤ギミックがわかってからの面白さがとてつもない作品ですよね…!ラノベでこういった構成にするのはなかなか挑戦的ですが、良い作品だったと思います!

らのちゃんじゃないか!!

▽らのらのしてきた……!
▽そうですね、仰る通りかなり挑戦的で、下手をすれば読者に伝わらず終わるというだけに攻めきった構成だったと思います。
▽もっと女装男子成分を活かしてくれれば完璧だったのですけども……!
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